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経営戦略的就業規則とは


ページの都合上、残念ながら経営戦略型就業規則のすべてをお伝えすることはできませんが、

その一部をご紹介させていただきます。




期待外れの社員。試用期間なのに辞めさせられない!?

高い報酬を払う約束で引き抜いた社員なのに、全くの期待はずれ・・・

試用期間中に解雇しようとしても、本人は「就業規則に書いてある解雇の事由に該当しない!」

と解雇に応じてくれません。


そんな会社の就業規則は・・・


 (試用期間) 
 
 1. 新たに採用した者については、採用の日から「○か月間」を試用期間とする。

    ただし、会社が適当と認めるときは、この期間を短縮し、又は設けないことが

    ある。

  2. 試用期間中に従業員として不適格と認められたものは、第○条(「解雇」の条文)

     の定めに従い解雇することがある。

   ―以下略―


試用期間中の解雇の具体的な定めがない場合、試用期間中といっても、通常の労働者と同じように

解雇や懲戒の事由に該当する場合でないと解雇できない場合があります。



経営戦略型就業規則に変更するとこうなる!


 (試用期間) 
 ―前略―
 
 2. 試用期間中または試用期間満了の際、次のいずれかに該当する者について
  は、解雇に関する手続きの規定に従い解雇する。



 
①正当な理由なく遅刻したとき
 ②正当な理由なく欠勤したとき
 ③正当な理由なく上司の指示に従わなかったとき
 ④就業期間中、業務に専念せず、職場を離れたり、私的行為を行ったとき
 ⑤不適格な言動を行い、又、職場における協調性に欠けると判断されるとき
 ⑥業務遂行能力・技術が劣ると会社が判断したとき
 ⑦会社の提出書類、面接時に述べた内容が事実と著しく異なる事が判明したとき
  又は業務遂行能力に支障となるおそれのある既往症を隠しそれが発覚したとき
 ⑧その他、前各号に準ずる程度の事由により引き続き社員として勤務させること
  が 不適当と認められるとき



他の就業規則とはここが違う!

試用期間中にどのようなことをすると解雇されるのか、具体的に記載します。

具体的な記載があると試用期間中の解雇がしやすくなります。またあらかじめこうした規定を

明らかにしておくことで、入社したての社員も襟を正して勤務に励むことになると思います。

従業員の教育は、何事もはじめが肝心なのです。



「社長、わたしも退職金、もらえますよね?」

パートタイマーの社員から突然の一言。払わなくてはいけない?就業規則の適用範囲を明確に

していない場合、原則的にすべての社員に、就業規則の記載事項は適用されます。



経営戦略型就業規則を作成するとこうなる!

 
 (適用範囲)

 この規則は株式会社○○(以下「会社」という)の正社員に適用する。

 (正社員以外の適用)

 正社員以外の社員の就業については、この規則は適用せず、別に

 定める規則による。

 (正社員の定義)
 
 この規則の適用を受ける正社員(以下、単に「社員」とする)とし、第10条に定める
 
 手続きを経て、会社との期間の定めなく(定年を除く)雇い入れられる労働契約を 

 締結し、会社の業務に従事する物をいう。

  別途、「パートタイマー就業規則」を作成する。



雛形就業規則とはここが違う!


社員のさまざまな処遇については、個別の労働契約よりも就業規則規定が優先されます。

就業規則の規定をどのような社員に適用するのかが明確でなければ、

原則的にすべての社員に適用されてしまいます。

賃金、休日、退職金など通常正社員とパートタイマーで処遇が
なるものについては、

適用する就業規則をそれぞれに作成し、明確に規定しておきましょう。





「同期入社なのに定年の日は別!?納得いかんぞ!」


定年の定めをしっかりしていないとこんなことも起こります。

退職日をどのように規定しているかによって、定年年齢等が変わってくることがあります。


そんな会社の就業規則は・・・


 (定年) 
 
 従業員の定年は60歳とし、定年に達した日の属する月の末日をもって退職と

 する。



経営戦略型就業規則に変更するとこうなる!


 (定年) 
 
 社員の定年退職の日は、満60歳に達した日(誕生日の前日)とする。


 
他の就業規則とはここが違う!

たとえば、昭和24年4月1日生まれの人の場合、先ほどの規定だと定年に達するのが

誕生日である平成21年4月1日なのか、誕生日の前日の平成21年3月31日

なのかはっきりしないため、トラブルを生じる恐れがあります。

日付や期限の取り扱いは明確にわかりやすく規定しましょう。




「家を買ったばかりなのに、転勤なんて絶対嫌です!」

社員からのまさかの転勤拒否!どうすればよい・・・!?



そんな会社の就業規則は・・・


 (人事異動)

 会社は、業務上必要がある場合は、社員の就業する場所又は従事する業務の

 変更を命じることがある。




経営戦略型就業規則に変更するとこうなる!


 (異動)

 1 会社は、業務上必要があるときは、社員に異動を命じることがある。

 2 前項の場合、社員は正当な理由がなければ、これを拒むことはできない。


他の就業規則とはここが違う!

会社には配転命令権があります。就業規則に「正当な理由がない場合は、拒否的できない」と

具体的な規定を設け、会社の社員に対する配転命令権を明確にしましょう。



「辞める前にたまった有給、全部使っていいですよね?」



未消化の年次有給休暇を多く抱えた社員が退職することになったらその社員から

会社を辞めるまでに年次有給休暇を全部消化したい言われても、

会社は拒否することはできません。


だからこそ就業規則の規定を工夫して日ごろから年次有給休暇
の取得をはかりましょう。


そんな会社の就業規則は・・・


 (年次有給休暇)

 1  各年次ごとに所定労働日の8割以上出勤した従業員に対しては、次の表の
   

   とおり勤続年数に応じた日数の年次有給休暇を与える。

 ―中略―

 6 当該年度に新たに付与した年次有給休暇の全部又は一部を取得しなかった

  場合にはその残日数は翌年度に繰り越される。




経営戦略型就業規則に変更するとこうなる!


 (年次有給休暇)

 1 6ヶ月以上継続勤務し、全労働日の8割以上勤務した者には継続または

  分割した年次有給休暇を下表のとおり与える。

 ―中略―

 4 年次有給休暇は、付与された年度の次年度に限り繰り越すことができる。

 ―中略―

 7 第1項の規定にかかわらず、5日を越える分については労働基準法第39条 


   第5項の規定に基づく労使協定により、あらかじめ時期を指定して与えること

  ができる。


 



他の就業規則とはここが違う!

労働基準法第39条第5項の規定による計画付与の制度を利用し、

年次有給休暇の消化を促進します。

社員のリフレッシュをはかる効果も期待できますので、社員にも喜ばれる制度となるでしょう。

年次有給休暇をまとめて付与する期間を設定しましょう。


さらに、有給休暇については、次のようなことも検討しても
よいかもしれません。


 (年次有給休暇)

  ―中略―

 3 年次有給休暇の消化の順番は、まず今年度の有給休暇日数から消化した

   後、その後日数がなくなった場合は前年度から繰り越された日数を消化する

  ものとする。


他の就業規則とはここが違う!

年次有給休暇を請求するにあたり、当年度発生分と前年度から
いわゆる

繰り越し年休と、
どちらを先に消化するかという点に
ついては、

法律には定められていません。

そこで、就業規則でどちらを先に消化してゆくか定めておくことによって、

繰り越し日数を削減することもできます。



社員からの突然の退職願い。引き継ぎは大丈夫ですか




引継ぎができない!?そんな会社の就業規則は・・・


 (退職) 
 
 前条に定めるもののほか、従業員が次のいずれかに該当するときは、退職と

 する。

 ①退職を願い出て会社から承認されたとき、または退職願いを提出して14日を

 経過したとき

 ②期間を決めて雇用されている場合、その期間を満了したとき

 ③第9条に定める休職期間が満了し、なお休職自由が消滅しないとき

 ④死亡したとき  



経営戦略型就業規則に変更するとこうなる!


 (退職) 
 
 社員が次の各号のいずかれに該当するに至ったときはその日を退職の日とし、

 その日の翌日に社員としての身分を失う。

  ①社員が退職を願い出て会社と協議の上決定した退職日

 ―中略―

 2 前項の規定により退職を提出したものは、退職の日までは
会社の指示する

  業務
に服さなければならない。

 3 前2項の場合において、社員は退職の日までの間に従前の職務について

  後任者への引継ぎを完了し、業務に支障をきたさぬよう、

  専念しなければならない。

 4 退職予定者が前項の
引継ぎを怠った場合には、退職金規定の定めに


  従って退職手当の全部又は一部を支給しないことがある。

 5 会社の営業・顧客に関する情報の
秘密保持に関する誓約は、

  雇用関係終了後も
継続して適用される。

 
―以下略―




他の就業規則とはここが違う!



先ほどの某会社の就業規則では、明らかに規定が足りません。
業務の正常な引継ぎを担保する定めを盛り込みましょう。
退職後も引き続き会社の機密を保持するような規定も必要です。
何よりも社員が自己都合退職することは、多くの場合会社に「想定外」の事態ですから
会社側にも準備をする時間がほしいいものですよね。また、退職願を出した社員に対して、
「退職日までは従前の業務に就くようにと規定している就業規則もしばしば見られますが、
すでに退職願を出した社員をそのまま「従前の業務」に就かせておいてよいでものでしょうか。
業務転換の必要性があります。